ケーキ作りで私が大切にしているのは、食べてくださる方の想いを汲み取り、期待を超えるものを創り出すこと。そして、その過程を自分自身も楽しむことです。
以前、オリジナルのウエディングケーキを制作した際には、お客さまとの打ち合わせで要望を伺いながらデザインを練り上げました。完成したケーキが、お客さまの想像を超えたときに見せてくださった笑顔。その笑顔を今でも鮮明に覚えていますし、その瞬間こそが、私にとって何より幸せな時間です。
パティシエという仕事は、誰かを笑顔にするために自分のイメージを最大限に活かして表現できる職業であり、同時に自分自身のやりがいや成長にもつながるものだと感じています。
これからも新しい挑戦を続けながら、より多くのお客さまの笑顔と素敵な思い出づくりのお手伝いができればと思っています。

「mêler」を作るにあたり、こだわったポイントは、メイン食材であるココナッツをモチーフに、カカオの実とパイナップルの葉が落ちて融合していく様子を表現した点です。透明のゼリーでコーティングすることで、液体のような質感を強調し、ミルククラウンや波紋を取り入れることで、デザインに躍動感を持たせました。また、カットすると10層からなる美しい断面が現れる点も、特にこだわったポイントです。
味はココナッツ、カカオ、パイナップルの3種類で構成されており、口どけの温度、食感、香りに変化をつけることで、味の移ろいを楽しんでいただけるよう工夫しました。
このたび、「2025ジャパン・ケーキショー東京 グラン・ガトー部門」にて優勝することができ、大変嬉しく思っております。
今後もお客さまに「食べてみたい！」と思っていただける商品を考案していきたいと思います。

私がケーキ作りで最も大切にしているのは、食べてくださる方に喜んでいただくことです。どんなものを作るときも、納得のいくものを作りたいと考えています。
常にお客さまの立場を想像し、「嬉しい」「感動する」と感じていただけることを何より大切にしています。
今年（2025年）は、4月に迎えたホテル開業45周年記念ケーキや、スイーツブッフェ、テイクアウトケーキなど、私がベースを考え、仲間のパティシエとブラッシュアップを重ねた商品が実現しました。自分が考えた商品がお客さまの手に渡り、喜ぶ姿や笑顔が見れた瞬間が、私にとって一番のやりがいです。
プライベートでも、家族や友人にスイーツを作り、喜んでもらえることが大きな励みになっています。人を笑顔にすることが好きだから、パティシエという職業を選びました。自分の思い描いたものを形にし、人に感動を届けられるこの夢の仕事に就けていることを幸せに感じています。

今回の作品のテーマを「働くあり達」にした理由は、過去に角砂糖を使った作品を見て面白いと感じ、自分の作品にも取り入れたいと思ったからです。“角砂糖”、“あり”、“花”というキーワードが浮かぶ中で、箱から角砂糖が落ち、芽が芽生え、果物のオレンジをイメージした花が実る。そんなストーリーを描きながらデザインを練りました。
花の大きさにもこだわり、大きい花はオレンジが熟した状態を、小さい花はこれから完熟していく様子を表現しています。細部まで丁寧に仕上げ、360度どこから見ても楽しめる作品になっていますので、「カフェ＆ダイニング Chef’s Palette」店頭でぜひご覧いただけると嬉しいです。
今回の受賞をゴールとせず、今後もコンクールへの積極的な参加や新商品の開発など、さらに挑戦を続けていきたいと思います。